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2022年7月6日

渋谷おとなりサンデー 2022年6月5日レポート 〜3年ぶりのリアル開催!〜

今年で6回目を迎えた「渋谷おとなりサンデー」。今回は3年ぶりに区内各地でもさまざまな企画が開催され、にぎやかな6月の第一日曜日となりました!直前まで天気の心配もありましたが、当日はなんとか晴天でスタート。ここまで毎年のように晴れてくれる渋谷おとなりサンデー、もってますね!
さて、今年の当日レポートは、「PICK UP! LOCAL ACTION」で取材執筆を担当している家洞(やぼら)がお送りします。いつもは、日常的に地域交流・地域活動を行っている方々を取材していますが、渋谷おとなりサンデーに参加するのは実は今回が初めて。気になる企画をいくつかまわってきましたので、当日の様子をレポートしていきたいと思います。
と、その前に、渋谷おとなりサンデーの簡単な説明を。


(2022年のフライヤー)

そもそもこの取り組みのヒントになったのは、フランス・パリの「隣人祭り」。今でこそ、ヨーロッパ中に広まる一大ムーブメントとなっている隣人祭りですが、きっかけはある高齢者の孤独死でした。それを思ったアパートの住人たちは、もっと隣人同士の交流が必要だと考え、アパート内で持ち寄りパーティーを始めたところ、アパート内では挨拶が生まれ、次第に日常的な交流も行われるようになったのだとか。
渋谷区では、同様の取り組みを2017年からスタート。6回目となる今年、集まったのは43の企画!渋谷区民、渋谷で働く人、遊びにくる人…さまざまな個人や団体が、自分たちの手で「交流のきっかけ」をつくっていました。


(2022年 渋谷おとなりサンデーの全体マップ)

それでは、当日の様子をお伝えしていきます!

1000【富ヶ谷/東海大学正門内広場】
開会式・区長の開会宣言

まずは、開会式が行われる東海大学の正門内広場を目指します。

見えてきました!
まだ開会前の、静かな様子です。渋谷おとなりサンデーでは、毎年コラボレーション拠点というものがありますが、今年は富ヶ谷二丁目が選ばれました。ここでは、開会式が行われることに加え、ほかのエリアに比べると、町内にぎゅぎゅっと企画が凝縮されています。全体としては、こんな感じ。

さて、開会式の時間も近づき、少しずつ人も増えてきました。ボランティアスタッフや渋谷区の関係者の方々をはじめ、だんだんと人だかりができはじめます。

そして開会式定刻の10時になると…

こんなにたくさん!こうして対面で集うことができるのも、3年ぶりです。
開会式のなかでは、富ヶ谷二丁目町会の渡辺さんが、最近あったうれしかったこととして、「ご近所のあの方と10日くらい挨拶できていないから、見に行ってくれない?」という会話があったことをお話しされていました。「これからも、もっと気軽に挨拶ができる街にしたいですね」との言葉には、会場からも大きな拍手が。
あたたかな雰囲気のなか、区長の掛け声とともに、2022年の渋谷おとなりサンデーが開幕しました!!


(プロバスケットボールリーグ、サンロッカーズ渋谷のチアの皆さんのパフォーマンス)

1100【恵比寿/恵比寿南二公園】
カブトムシのサナギを配ります。

さて、東海大学を出て、次は恵比寿へと向かいます。公園でカブトムシのサナギを配っている親子がいるとのこと。
富ヶ谷から恵比寿は少し距離があるので、電車で向かいます。移動距離が近いエリア内をぐるぐる回って楽しみたいという方は、シェアサイクルなどを使うとよさそうです。

道すがら、手にスタンプカードを持って走っていく子どもたちの姿が。スタンプをすべて集めると、とある企画に参加できるそうです。詳しくは、また後ほど。

さて、公園に着きました。いつもながらに遊んでいる子どもたちの奥に、何やら広げている親子の姿を発見!

さっそくですが、まずはカブトムシのサナギを見せてもらうことに。22匹いたサナギも、わたしが到着したころには、すでにあと数匹になっていました。9時半ごろから始めて、かれこれ10家族ほどに、サナギをお渡しすることができたそうです。


(フライドチキンの空き容器に並べたサナギたち。サナギを入れるケース(人工蛹室)はもらいに来た人に手伝ってもらい一緒に作ったそうです。)

こちらの企画を主催したのは、近くに住むハセガワさんと、小学3年生の息子さん親子。お話を聞いてみると、前々から具体的な計画を立てていたわけではなく、当日1週間前の思いつきで参加してみたのだとか。気楽に、ゆるく。息子さんと川越の公園に遊びに行ったときに捕まえたカブトムシがたくさん卵を産んだので育てていたそうです。成虫になったら近くの子どもたちにでも配ろうか、なんていうことも考えていたとのこと。6月になり幼虫がサナギになり出したタイミングでちょうどおとなりサンデーのネタに良いかなと何気ない気軽さで、事務局に参加の問い合わせをしたそうです。


(ハセガワさん親子)

「事務局の担当の方の対応もすばやく親切で、直前でも参加しやすかった」とのこと。計画的でなくても、大袈裟なことでなくても、公園に遊びに来るようなラフさでご近所さんと交流する後押しになるのが渋谷おとなりサンデーの良いところとおっしゃっていました。
当日を迎えるにあたり、ちゃんとサナギになっているかどうか少し心配だったそうですが、みんな元気にサナギになってくれていて親子で大喜びしたそうです。息子さんにとっても、貴重な経験になったことでしょう。

1130【恵比寿/景丘ちいさい秋公園】
わなげ大会

さて、次の目的地へと向かう途中、別の公園では町内会のわなげ大会が行われていました。こちらはシニアの皆さんが毎週やっているもので、スコアもきちんと付けているわなげ大会ですが、わたしのように何気なく現れた人にも、「やってみますか?」と声をかけてくださるオープンさ。

写真はちょうど、投げているところ。点数が入ると、わーっと歓声が上がっていました。

公園の前を歩いていた親子が、ふらりとわなげに参加する場面も。皆さんあたたかく迎え入れ、一緒に楽しんでいました。

1330【幡ヶ谷/幡ヶ谷ひだまり公園】
ささはたカフェガーデン

続いては、幡ヶ谷へ。ここでは、ガーデンテラスで食べ物や飲み物をふるまっていると聞いているのですが…

旗が見えました! ガーデンテラスの前のひだまり公園では、子どもたちが遊具で遊んだり、レジャーシートを広げてピクニックをしたりしている様子。その植栽の先へゆくと…

こんな素敵なガーデンテラスがありました!ギターの生演奏で盛り上がっているこちらは、笹幡包括支援センターとまなびの森保育園、ひだまり公園に囲まれた、隠れ家のような場所です。

ガーデンのお花は障がいのある方々が草取りをしたりして、きれいにお手入れされています。手描きの看板も、とてもかわいらしい。当日は、お花のお手入れをしている様子も見させてもらうことができました。


(世界アルツハイマー月間に合わせたオレンジ色のコスモスの種の配布や、イラストやコメントを書くラブボードワークショップも開かれていました)

ガーデンテラスでは、わたあめや軽食がふるまわれています。

そしてこのわたあめの機械、もともとは壊れていたものだったそうですが、この企画を運営している森下さんという方が自らの手で直し、復活させたものなのだそうです。手を動かしながら、より楽しくなるように工夫する。何気ないことですが、こうした一見すると小さなところに、取り組みへの大きな意志を感じます。

屋内でも、食事をとりながらおしゃべりが繰り広げられていました。オープンで心地よい空間になっている笹幡包括支援センター。このガーデンテラスができたことで、隣の保育園、前の公園との境界線が緩やかになりました。3つの場所がより身近に、よりつながりが感じられるものになったことで、包括支援センターとしての幅がグッと広がっているように思えます。

わたあめを食べたり、生演奏を聴いたり、おしゃべりしたり。子どもから高齢者まで、障がいのある方もない方も、みんなでお祭り気分を楽しんでいました!

1400【幡ヶ谷/お家のお庭の前】
ポット苗さしあげます

さて、花つながりですが、この近くのお宅で、ポット苗を配っているそう。数分歩くと、素敵なお花やハーブが並ぶお家が見えてきました。すでに、人だかりができています。


(ミント、明日葉、三つ葉、レモンバーム、リュウキュウアサガオなどが配られました)

この企画を開催しているのは、津村京子さん。普段から友人宅のお庭で植物を育てており、お花や植物が好きな方とよく立ち話をしているそうです。

3ヶ月ほど前まで病気で療養していたそうですが、そうとはわからないほどエネルギッシュで、お話し上手な津村さん。この日も、通りがかった小学生の子と、学校の生き物係のことでおしゃべり。教室で育てるなら何がよいかと相談を受けて、室内でも育てやすく、お花も咲いて華やかな植物を差し上げていました。

私が訪れたのは昼過ぎでしたが、午前中はもっとたくさんの人が立ち寄ってくれたのだとか。こんなにたくさんポット苗が並んでいると、どれにしようか迷ってしまいます。ハーブなど、家にあるとうれしいものばかり。津村さんの魅力も相まって、思わず立ち寄りたくなるお庭でした。

1430【富ヶ谷/ひだまりガーデン】
おしゃべり & ハーブティの提供

そろそろ、日も暮れそうになってくるころ。天気が心配されたこともあり、多くの企画が午前中〜お昼ごろにかけてピークを迎えた様子です。
さて、幡ヶ谷から富ヶ谷へと戻り、ひだまりガーデンへ。ここはもともと空き地でしたが、7年ほど前から少しずつ植物を増やし、今ではなんと100種類以上の花が咲き誇る、豊かなガーデンになっています。

この日も、コインランドリー帰りの若者や、家族連れでにぎわっていました。普段からご近所の方々に愛されている場所であることがうかがえます。


(この企画を主催した、富ヶ谷2丁目の皆さん)

お話を伺ってみると、午前中はガーデンにずらっと列ができるほど、今以上にたくさんの人々が遊びにきてくれたそうです。ガーデンで育てたブラックミントとレモングラスのハーブティーを飲みながらおしゃべりしたり、植物の種を配ったり。いつもに増してにぎやかなガーデンになりました。

これだけたくさんの植物があると、花の名前も気になるもの。「これ、なんですか?」なんて会話も自然と繰り広げられていました。

1445【富ヶ谷/町会会館】
子ども用品リサイクル会

続いて、徒歩数分のところにある町会会館へ。ここでは、子ども服やおもちゃなどのリサイクル会が開催されていました。
主催したのは、多世代交流に取り組むどんぐりカフェさんと、子ども用品のリユースでつながる親子支援『リサイクるん』に取り組む、NPO法人ふれあい子育てサロンスイミーさん。

お話を伺ったところ、この時点までの来場者数は、なんと180名!(その日は計276名の方が名簿に記入されたとのこと)。一時は、まるでバーゲン会場のような大盛り上がりを見せました。

なかには、一度家に帰って、着なくなった子ども服を持ってきてくださる方もいたそうです。こうして寄付されたものについてもすぐさまサイズ別に分けて並べ、次の方の元へと届けます。


(成長にともないサイズアウトした服で、状態が良いものばかり)

これだけたくさんの服やおもちゃが並んでいると、子どもたちも選ぶのが楽しそうです。

さて、会場の入り口には、何やら可愛らしい看板もありました。

様子をうかがっていると、子どもたちが続々とスタンプを押しにやってきます。というのもこのスタンプラリー、すべて集めると、近くの三本杉公園で行われるポニーの餌やり体験ができるらしいのです!冒頭の子どもたちのお目当ても、これだったみたい。さっそく、見に行ってみます。

1500【富ヶ谷/富ヶ谷三本杉公園】
ふれあい動物園

さあ、最後は、富ヶ谷三本杉公園へ。ポニーの餌やり、いったいどんな様子なのでしょう。
道すがら、こんな光景も。ハンガーなどの不用品を、次の誰かにもらってほしいというメッセージが受け取れます。こうした交流も、おとなりという近さだからこそ、できることかも?

そして、三本杉公園へ。いました、ポニー!

餌やりだけでなく、乗馬体験もしているみたいです。こちらは、公益財団法人ハーモニィセンター協力のもと、渋谷おとなりサンデー運営事務局が主催。渋谷でポニーが見られることに、思わずテンションが上がります。

さらには、モルモットのふれあい体験も!未知の体験の数々に、子どもたちは大盛り上がり。この日のことは、大人になってからもきっと覚えているはず。素敵な思い出になったこと間違いなしです。

こうして日は暮れ、2022年の渋谷おとなりサンデーは幕を閉じました。わたし自身、取材させてもらいながら、自分たちのやってみたいことを地域に開いて実践している人たちの姿に、よい刺激をもらいました。そして、たとえこのイベントの存在を知らなくても通りがかりで参加できるのが、渋谷おとなりサンデーのよいところなんだなと。皆さんオープンな方々ばかりで、飛び込みでも、とっても楽しませてもらいました!
主催者の方々の話を聞いていると、思った以上にふらりと企画を開催できるようです。「ちょっと多く作りすぎちゃったから、おすそ分け〜!」みたいな感覚で、日常の延長として考えると良さそうだな、なんて思いました。

また来年も、健康にこの日を迎えられることを願って。

※一部の写真では、撮影のみマスクを外していただきました。

テキスト・写真:家洞 李沙